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数次相続とは?遺産分割の途中で相続人が亡くなった場合の手続きと注意点を弁護士兼税理士が解説

2026.08.04
数次相続とは?遺産分割の途中で相続人が亡くなった場合の手続きと注意点を弁護士兼税理士が解説

「遺産分割協議を進めている途中で、相続人の一人が急に亡くなってしまった」というご相談は、川崎市中原区・武蔵小杉エリアでも決して珍しいものではありません。この場合、相続人の数が想定より大幅に増えたり、これまで面識のなかった親族が協議に加わることになったりと、手続きが一気に複雑化します。本コラムでは、このような「数次相続」の基本的な仕組みから、混同しやすい「代襲相続」との違い、実務でよくあるトラブル、遺産分割協議書の書き方、そして早期に手続きを進めるべき理由まで、川崎・武蔵小杉で相続案件を数多く手がける弁護士兼税理士がわかりやすく解説します。

1. そもそも数次相続とは?

数次相続とは、被相続人が死亡(一次相続)した後、遺産分割協議が完了しないうちに相続人の一人が死亡し、次の相続(二次相続)が開始してしまう状態のことをいいます。

民法896条により、死亡した相続人(二次被相続人)が一次相続で持っていた「遺産分割前の共有持分」や「遺産分割協議に参加する地位」は、そのまま二次相続人に引き継がれます。最初に発生した相続を「一次相続」、二次相続以降に発生した相続を「二次相続」(三次以降が発生することもあります)と呼びます。

数次相続の典型的なパターンとしては、以下のようなケースが挙げられます。

・両親が相次いで死亡した場合(父が亡くなった後、遺産分割前に母も亡くなった等)

・不動産の名義変更(相続登記)を長年放置している間に相続人が死亡した場合

・相続人間で意見が対立し、遺産分割を先延ばしにしている間に相続人が死亡した場合

数次相続の仕組みと家系図のイメージ

1:数次相続のイメージ(父が死亡後、遺産分割前に母が死亡したケース)

2. 数次相続と代襲相続の違いを弁護士兼税理士が解説!

数次相続とよく混同される制度に「代襲相続」があります。両者を見分けるポイントは、相続人が亡くなった「時期」です。

・代襲相続:被相続人が死亡する前に、本来相続人となるはずだった人(子や兄弟姉妹)が死亡・相続欠格・廃除により相続権を失っていた場合に、その人の子が代わって相続人となる制度

・数次相続:被相続人が死亡した後、遺産分割協議が終わらないうちに相続人が死亡した場合

この違いは、相続税の基礎控除の計算にも影響します。代襲相続の場合、孫などが被相続人の直接の相続人となるため、基礎控除の計算に含まれる法定相続人の数が増える可能性があります。一方、数次相続の場合、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)はあくまで一次相続開始時点の法定相続人数で計算するため、数次相続が生じても基礎控除額が増えることはありません。この点を誤解すると、過少申告につながるおそれがあるため注意が必要です。

なお、似た言葉に「相次相続(そうじそうぞく)」もありますが、これは10年以内に相続が相次いで発生した場合に、二重課税を軽減するための税務上の制度(相次相続控除)を指す言葉であり、数次相続とは異なる概念です。

また、兄弟姉妹が相続人となるケースでは、代襲相続は一代限り(甥・姪の子は再代襲しません)ですが、数次相続にはそのような制限がなく、権利が順次承継されていきます。

代襲相続と数次相続の違い(死亡の前後関係の対比図)

2:代襲相続と数次相続の対比(死亡の前後関係で見分ける)

3. 数次相続でよくあるトラブルについて

【トラブル1】相続人の数が想定より大幅に増える

一次相続の相続人が死亡すると、その配偶者や子など、当初は関係のなかった人にまで遺産分割協議への参加資格が承継されます。数次相続が重なるほど、相続人は枝分かれ式に増えていきます。早期のご相談・対応が重要です。

【トラブル2】面識のない親族が加わり、協議が進まない

二次相続人の中には、一次相続の被相続人と生前ほとんど交流のなかった人(配偶者の再婚相手の子など)が含まれることもあります。人間関係が希薄なまま利害だけが絡むため、話し合いがまとまりにくくなります。早めに弁護士へご相談いただくことで、感情的な対立を避けた進行が可能になります。

【トラブル3】遺産分割協議書の記載不備で手続きが差し戻しになる

数次相続の協議書は、被相続人・相続人の記載方法が通常と異なります。記載に不備があると、法務局や金融機関での手続きが受け付けられず、相続人全員の署名・押印をやり直す事態にもなりかねません。専門家によるチェックを受けることをおすすめします。

【トラブル4】相次相続控除の適用漏れ・期限徒過による税金面のペナルティ

数次相続では、一次相続・二次相続の両方について、それぞれ相続税の申告・納税義務が生じる場合があります。それぞれの申告期限(原則10ヶ月)は起算点が異なるため、片方の期限だけを意識していると、もう一方の申告が期限徒過となり、無申告加算税・延滞税といったペナルティを受けるおそれがあります。

また、二次相続では「相次相続控除」(一次相続から10年以内に二次相続が発生した場合に、一次相続で納めた相続税の一部を二次相続の税額から差し引ける制度)が使える可能性がありますが、この適用を見落として過大に納税してしまうケースも少なくありません。数次相続は法的な地位の承継と税務上の申告義務が同時並行で進むため、遺産分割の方針を決める段階から税務の視点を織り込んでおくことが、余計な税負担を避ける最大のポイントです。

4. 数次相続による遺産分割協議の進め方と遺産分割協議書の書き方とは?

進め方

相続人調査:一次相続・二次相続それぞれの相続人を、出生から死亡までの戸籍をたどって確定する

相続財産調査:不動産・預貯金などプラスの財産だけでなく、負債も含めて調査する

遺産分割協議:一次相続の協議には、二次相続人全員の参加が必須。1人でも欠けると協議書は無効になる

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書の書き方のポイント

原則として、一次相続と二次相続の協議書は別々に作成します(一次・二次の相続人が完全に一致する場合のみ、1通にまとめることも可能です)。数次相続特有の書き方のポイントは、次の2点です。

・二次相続の被相続人(=死亡した相続人)の情報も記載し、その肩書きを「相続人兼被相続人」とする

・相続人の署名欄も、地位が重複する人については「相続人兼〇〇の相続人」のように明記する

相続登記について

原則として、一次相続・二次相続それぞれについて相続登記を申請する必要があります。ただし、以下のいずれかにあたる場合は、一次被相続人から最終取得者へ直接名義変更する「中間省略登記」が認められ、登録免許税を抑えられる場合があります。

・中間の相続が「単独相続」(遺産分割や相続放棄、相続分なし等の結果、実質的に1人が取得した場合を含む)であるとき(昭和301216日民事甲2670号通達)

・中間が単独相続であったことが遺産分割協議書(または遺産分割協議証明書)の記載内容から合理的に読み取れるとき(最終的な分割結果のみを記載した協議書でも1件の申請で足りる)(平成29330日民二第237号通知)

ただし、中間省略登記が適用できるかどうかの実体的な判断や、法務局に提出する書面の具体的な記載方法(書き方)については、事案ごとの極めて緻密な法的判断が必要です。要件を満たさないまま不適切な協議書を作成すると、手続きが差し戻しになるリスクがあるため、数次相続の登記申請にあたっては、必ず事前に当事務所へご相談ください。

5. 放置するほど相続人が増える!早期に手続きを進めるべき理由

・不動産の相続登記は20244月から義務化されており、相続の開始及び所有権取得を知った日から3年以内に申請する必要があります

・遺産分割を放置すればするほど、その間に相続人がさらに死亡し、権利関係が枝分かれ式に複雑化します(いわゆる所有者不明土地問題の典型的な原因です)

・相続放棄の期限は自己のために相続の開始を知った時から3ヶ月、相続税申告の期限は10ヶ月と定められており、数次相続ではこれらの期限管理も一次・二次それぞれについて必要になります

・相続人が増えれば増えるほど、必要な戸籍の収集や意思確認にも時間がかかり、解決までの労力とコストが大きくなります

6. まずはここから!「数次相続かも?」と思ったら確認したいこと

「うちのケースが数次相続にあたるのか分からない」「まだ何も決まっていないが相談してよいのか」と迷う方も多いですが、以下に当てはまるものがあれば、その時点でご相談いただいて構いません。

・相続手続き(遺産分割協議・相続登記・預貯金の解約など)を終えないうちに、相続人の一人が亡くなった

・不動産の名義が祖父母や、もっと前の代のままになっている

・疎遠な親族が相続人に含まれることが分かった、または含まれそうだ

・相続人の中に、連絡先や生死が分からない人がいる

ご相談の際にお持ちいただけると話がスムーズな書類(お手元にある範囲で構いません)

・亡くなった方(できるだけ古い代までさかのぼった)の戸籍謄本・除籍謄本

・不動産の固定資産税納税通知書、登記簿謄本(登記事項証明書)

・預貯金通帳、証券会社からの取引残高報告書など

・これまでに相続人間でやり取りした書面やメール(あれば)

これらが手元になくても、当事務所で戸籍の収集からサポートいたしますので、まずは分かる範囲の情報だけをお持ちいただければ十分です。

7. 数次相続において弁護士を利用するメリットとは?

・相続人調査(戸籍収集)から遺産分割協議の代理、相続放棄の判断支援まで一括して対応できる

・相続人間で意見が対立している場合、代理人として交渉できるのは弁護士のみ

・相続税申告は税理士、相続登記は司法書士の専門領域ですが、弁護士に相談すれば適切な専門家への橋渡しも受けられる

・弁護士兼税理士に相談すれば、法務と税務の窓口が一本化されるため、法律事務所と税理士事務所を別々に探して同じ説明を何度も繰り返す手間と時間を大幅にカットできる

8. よくあるご質問

Q1. 数次相続と「再転相続」はどう違いますか?

  1. 再転相続は、相続人が相続放棄をするかどうかを決める熟慮期間(自己のために相続開始を知った時から3ヶ月)中に死亡した場合に生じます。数次相続は、相続を承認した後、遺産分割協議が未了のまま相続人が死亡した場合を指す点で異なります。

Q2. 数次相続が発生した場合でも相続放棄はできますか?

  1. 可能です。ただし、一次相続と二次相続のそれぞれについて、承認するか放棄するかを判断する必要があります。期限管理が複雑になるため、早めに弁護士へご相談ください。

Q3. 数次相続の場合、相続税の申告期限は延長されますか?

  1. 死亡した相続人本人が本来負っていた申告義務を引き継ぐ人(二次相続人)については、その死亡を知った日の翌日から10ヶ月に申告期限が延長されます。ただし、それ以外の一次相続人の申告期限は延長されませんので、注意が必要です。

Q4. 遺産分割協議書は一次相続・二次相続で1通にまとめられますか?

  1. 一次相続と二次相続の相続人が完全に同じ場合(父の死亡後に母が死亡したケースなど)に限り、1通にまとめることも可能です。ただし、手続き先によって求められる形式が異なるため、事前の確認をおすすめします。

Q5. 川崎・武蔵小杉エリアで数次相続に強い弁護士・税理士に相談できますか?

  1. 可能です。当事務所は神奈川県川崎市中原区・武蔵小杉に所在し、弁護士兼税理士である代表者を含むチームが、数次相続・代襲相続を含む相続案件を数多く取り扱っています。地元の不動産事情にも精通しているため、川崎市内・武蔵小杉近郊の方はもちろん、遠方にお住まいの相続人が複数いる数次相続案件にも対応可能です。

9. 数次相続・代襲相続でお困りの方は当事務所へご相談を

数次相続は、相続人調査・遺産分割協議・相続登記・相続税申告のいずれの場面でも、通常の相続にはない専門的な判断が求められます。神奈川県川崎市中原区・武蔵小杉に拠点を置く武蔵小杉あおば法律事務所では、代表弁護士が税理士登録も済ませた弁護士兼税理士であり、遺産分割の法的判断と相続税の税務判断を横断的に見据えたアドバイスが可能です。

法務と税務の窓口が一本化されているため、手続きのタイムラグがなく、あちこちの事務所に相談し直す手間もかかりません。

さらに、相続案件に2名以上の弁護士で対応するチーム制を採用し、司法書士とも連携しながら、戸籍調査から遺産分割協議、各種手続きまでワンストップでサポートいたします。

「相続人が誰なのか自分では把握しきれない」「何から手をつければよいかわからない」という段階でも構いません。まずはお気軽にご相談ください。

・対応エリア:川崎市(中原区・幸区・高津区・宮前区ほか)、横浜市など神奈川県内を中心に、遠方にお住まいの相続人の方からのご相談にも対応しております

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この記事を担当した専門家
神奈川県弁護士会所属 代表弁護士 長谷山 尚城
保有資格弁護士 FP2級 AFP 宅地建物取引士試験合格(平成25年)
専門分野相続・不動産
経歴1998年 東京大学法学部卒業
2000年 司法試験合格
2002年 司法修習終了(第55期) 東京あおば法律事務所に所属(東京弁護士会)
2004年 山鹿ひまわり基金法律事務所を開設(弁護士過疎対策・熊本県弁護士会)
2009年 武蔵小杉あおば法律事務所 開設
2014-15年 弁護士会川崎支部副支部長
2019-20年 川崎中ロータリークラブ幹事
2020-23年 法テラス川崎副支部長
2024-25年 法テラス神奈川副所長
2025年~ 神奈川県弁護士会副会長
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