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被相続人が投資家だった場合の遺産分割とは?

2026.07.03
被相続人が投資家だった場合の遺産分割とは?

「亡くなった父が株や投資信託をやっていたようだが、どこの証券会社にあるのか分からない」
「日々値動きする資産を、兄弟の間でどうやって公平に分ければいいのだろうか」
川崎市中原区・武蔵小杉周辺にお住まいの方々からも、こうした投資家の相続のご相談を多くいただきます。武蔵小杉駅周辺はタワーマンションの増加に伴い、現役のビジネスパーソンからリタイアされたシニア層まで、株式・投資信託・暗号資産(仮想通貨)といった多様な資産を運用される方が多くお住まいです。現預金や不動産だけの相続とは異なり、評価額が日々変動する投資資産の相続には、独特の難しさとトラブルの種が潜んでいます。本コラムでは、投資家の相続における重要な法律上の考え方、よくあるトラブル、公平な分割方法について、弁護士兼税理士の視点から分かりやすく解説します。

1. 結論から解説!値動きする株式や投資信託は「いつの価格」で分けるべきか?

投資家の相続で最も揉めやすいのは、「日々価格が変わる財産を、いつの時点の値段を基準にして分けるか」という点です。被相続人が亡くなった時には11,000円だった株式が、遺産分割の話し合いをしている最中に1,500円に値上がりしたり、逆に500円に値下がりしたりすることがあるからです。

この点について、裁判実務上の取扱いは明確です。

裁判実務のポイント:遺産分割の基準は「遺産分割時」

遺産分割において、分割の対象となる財産の価額は、原則として「遺産分割時(実際に話し合いがまとまった時点、または家庭裁判所の審判が出た時点)」の時価を基準とする、という運用が裁判実務上定着しています。相続開始時(死亡時)に遡って評価すると、その後の値動きが反映されず、相続人間に不公平が生じてしまうためです。

つまり、相続人同士で「誰がどの株をどれだけ引き継ぐか」を決める際の基準は、亡くなった日の価格ではなく、原則として現在の価格(遺産分割時)になります。

ただし、ここで多くの方が混乱する原因があります。それは、相続税の計算基準とのズレです。国に納める相続税を計算する際には、原則として相続開始時(被相続人が亡くなった日)の時価を基準にしなければなりません。

「税金の計算は亡くなった日の価格」で行うのに対し、「兄弟での分け方は分割時の価格」で行う。
この2つの基準の違いを理解していないと、「兄は亡くなった時の高い価格で計算して有利に進めようとしている」「妹は今の下がった価格を押し付けようとしている」といった不必要な誤解と対立を生む原因になってしまいます。

【専門家コラム】生前贈与があった場合の「2つの評価時点」


ここまでは相続税の話をしてきましたが、この点は税金の計算ではなく、相続人同士で遺産を分けるとき(民法上の遺産分割)の話です。
生前に被相続人から多額の贈与を受けた相続人がいる場合、その贈与は特別受益として遺産分割で調整されます。このとき、評価する時点が2つに分かれます。過去の生前贈与は相続開始時(死亡時)の価値に直して遺産に持ち戻し、いま手元にある遺産は遺産分割時(分けるとき)の時価で分ける、という使い分けです。
たとえば10年前に贈与された株式は、贈与当時ではなく相続開始時の評価額で持ち戻します。投資資産は生前贈与されているケースも多く、この2つの時点を正しく使い分けられるかどうかが、公平な分割の分かれ目になります。

2. 投資家の相続でよくある3つのトラブル事例(武蔵小杉・川崎の相談現場から)

当事務所が川崎市中原区や東横線・南武線沿線にお住まいの方々から受けるご相談の中で、投資家の相続に特有の代表的なトラブルには以下の3つがあります。

【トラブル1】そもそも、どこにいくらの資産があるか分からない(財産調査の難航)

近年のインターネット証券(ネット証券)の普及により、紙の取引報告書や残高証明書が自宅に郵送されないケースが劇的に増えています。スマートフォンのアプリ内だけで取引が完結している場合、同居している家族であっても口座の存在自体に全く気づかないことが珍しくありません。

どこの証券会社に口座があるか分からない場合は、証券保管振替機構(通称「ほふり」)に対して「登録済加入者情報の開示請求」を行うことで、故人が口座を開設していた証券会社を特定できます。ただしこの手続きには戸籍謄本の収集など専門的な書類準備が必要で、働きながら進めるのは時間的にも精神的にも大きな負担となります。

【トラブル2】「今すぐ売りたい人」と「値上がりを待ちたい人」の意見対立

株式や投資信託は価格が変動するため、相続人の間で経済的なスタンスが異なると激しく対立します。「これ以上値下がりすると損をするから、今すぐ売却して現金で分けたい」と主張する相続人と、「今は一時的に下がっているだけだから、売らずに保有し続けたい」と主張する相続人がいた場合、利害が正面から衝突します。お互いに譲らないまま数か月が経過し、その間にさらに株価が乱高下して関係が悪化する、という悪循環に陥るケースが多々あります。

【トラブル3】暗号資産(仮想通貨)やFX口座が後から出てくるリスク

暗号資産(ビットコインなど)やFX(外国為替証拠金取引)は、一般的な銀行や大手証券会社の口座と異なり、より一層「本人以外には見えにくい」資産です。遺産分割協議書を作成し、すべての話し合いが終わって安心していたところに、故人のスマホの通知やパソコンのメールから、数百万円相当の暗号資産口座が発覚することがあります。

遺産分割が終わった後に新たな重要財産が見つかった場合、原則としてその資産について再度「遺産分割協議」をやり直さなければなりません。一度決まった話し合いを蒸し返すことは、相続人全員にとって非常に大きなストレスとなります。

3. 【資産別】無形資産と有形資産の相続手続き・評価のポイント

投資家の遺産には、形のない無形資産と、不動産などの有形資産が混在していることが多く、それぞれ手続きや評価の考え方が異なります。

上場株式・非上場株式の手続き

上場株式の場合、遺産分割の話し合いでは前述のとおり「分割時の価値」を基準にしますが、相続税申告においては、以下の4つの価格のうち「最も低い金額」を選択して評価できるというルール(財産評価基本通達)があります。

  1. 被相続人が亡くなった日の終値
  2. 亡くなった月の毎日の終値の平均額
  3. 亡くなった前月の毎日の終値の平均額
  4. 亡くなった前々月の毎日の終値の平均額

実際の相続手続きとしては、遺産分割協議がまとまった後、相続人自身の証券口座へ株式の名義を書き換える「移管」を行います。故人の口座から直接売却して現金化することは原則としてできないため、受け取る側も証券口座を開設する必要があります。

なお、故人が会社経営者や個人事業主で「非上場株式(同族株)」を保有していた場合は、市場価格がないため、会社の財務状況をもとにした複雑な専門的計算(類似業種比準価額方式や純資産価額方式など)が必要となります。

投資信託の手続き

投資信託は複数の株式や債券、REIT(不動産投資信託)などが組み合わされた商品です。相続税上の評価額は、原則として「相続開始日に解約請求または買取請求を行ったとした場合に支払われるべき金額」となります。具体的には、解約時の基準価額から、信託財産留保額や源泉徴収税額相当額等を差し引いた金額(解約価額)を、証券会社や信託銀行に問い合わせて算出します。

暗号資産(仮想通貨)の手続き

暗号資産も当然に相続財産であり、相続税の課税対象です。評価額は、原則として「相続開始日に取引所が公表する取引価格」などをもとに算定します。最大の問題は、日本国内だけでなく海外の取引所を利用しているケースがあること、また「ウォレット」と呼ばれる個人の記録媒体に保管されている場合、パスワード(秘密鍵)が分からないと事実上引き出せなくなる点です。初期段階での専門的な調査が不可欠な分野です。

▶ 関連Q&A相続財産に「暗号資産(仮想通貨)」が含まれている場合の調査方法とは?

収益不動産(賃貸アパート・土地)の手続き

投資家の中には、分散投資として武蔵小杉や川崎市内、あるいは都内に賃貸アパートやワンルームマンションなどの「収益不動産」を保有している方も多くいます。不動産は株式のように「1株単位」で綺麗に切り分けることができません。誰が引き継ぐのかという問題に加え、「相続開始から遺産分割が成立するまでの間に発生した賃料収入(家賃)を誰が受け取るのか」という問題も生じます。この点について、最高裁判例は、その賃料は各相続人が法定相続分に応じて確定的に取得するとしていますが、実際の計算や清算には専門的な調整が必要です。

▶ 関連コラム:不動産相続の注意点と流れについて弁護士が解説

4. 日々変動する投資資産を「公平」に分ける3つの選択肢

値動きする遺産を、相続人間で不満が出ないように分ける方法は主に3つあります。

分割方法

概要・メリット

注意点・デメリット

現物分割

株式や投資信託の銘柄・口数をそのままの形で分ける方法(例:A社株1万株を兄弟で5,000株ずつ)。シンプルで分かりやすい。

端数が出て綺麗に分けられない場合がある。分けた後に銘柄ごとの値動きに差が出ると、将来的に不公平感が生じることも。

換価分割

すべての投資資産を売却して現金に変えたうえで、その現金を分け合う方法。1円単位まで公平に分けられる。

売却のタイミングによって総額が変わる。売却益が出た場合、相続人に譲渡所得税がかかる可能性がある。

代償分割

特定の相続人(例:長男)が株式や不動産をまとめて引き継ぎ、その代わりに他の相続人へ「代償金(現金)」を支払う方法。

引き継ぐ相続人に、代償金を支払えるだけの資金力が必要。基準となる価額の合意も必須。

トラブルを防ぐ最大のポイント

どの方法を採用する場合でも、後々のトラブルを防ぐためには、相続人全員の間で「〇月〇日の終値(または基準価額)をベースに話し合いを進める」という基準日(評価時点)の合意を、早期に書面で交わしておくことが極めて重要です。

5. 投資家の相続を「武蔵小杉あおば法律事務所」に相談すべき理由

弁護士兼税理士のダブルライセンス体制によるワンストップ解決

投資家の相続において最も注意すべきは、「遺産分割の話し合い」と「相続税の申告・納税」を切り離して進めてしまうことです。法律上の理屈だけで分割方法を決めた結果、特定の相続人に将来多額の税負担(譲渡所得税など)が生じてしまい、後から「こんなはずではなかった」と不満が出るケースは後を絶ちません。

当事務所の所長は、弁護士であると同時に税理士でもあります。そのため、「法律的にどう分けるべきか(遺産分割)」という視点と、「税金面で最も有利な方法はどれか(相続税・譲渡所得税)」という視点の両面から、同時にアプローチできます。窓口が一つで済むため、お客様が複数の専門家の間を何度も往復して説明する手間がなく、一体的かつ最適な解決策をご提案できます。

豊富な相談実績と地域に根ざした信頼

当事務所は、20264月時点で相続のご相談を累計800件以上お受けしてきました(所長は元・神奈川県弁護士会副会長)。数多くの複雑な相続問題を解決へと導いた経験をもとに、感情的になりがちな相続人間の交渉も、冷静かつ円満な合意を目指して代理人としてサポートいたします。

6. 投資家の相続に関するよくあるご質問(FAQ

  1. 父がどこの証券会社を使っていたか全く分かりません。調べる代行はしてくれますか?
  2. はい、承っております。当事務所にご依頼いただければ、証券保管振替機構(ほふり)への開示請求から、判明した各証券会社に対する残高証明書の請求まで、すべての財産調査を弁護士が代理人として一括して行います。お客様が平日に仕事を休んで手続きをする必要はありません。
  3. 株式は「いつの時点の価格」で兄弟と分ければよいのですか?
  4. 遺産分割で相続人同士が分ける際は、原則として遺産分割時(話し合いがまとまる直前など)の価格を基準にするのが裁判実務の取扱いです。一方、相続税の評価は亡くなった日を基準に4つの価格から最も低い額を選びます。基準時をめぐる対立を避けるため、早めに評価時点を合意しておくことをおすすめします。
  5. 遺産分割協議が終わった後に、売却していない株の税金はどうなりますか?
  6. 株を売却せずに引き継ぐ(移管する)場合、その時点では譲渡所得税はかかりません(相続税の対象にはなります)。ただし将来その株を売却した際には、故人がその株を購入した当時の価格(取得費)を引き継いで税金が計算されます。当事務所では、こうした将来の税金リスクも見据えた分割案をご提示します。
  7. 川崎市外の財産(他県の不動産や海外の証券口座)があっても相談できますか?
  8. もちろん可能です。当事務所は武蔵小杉(川崎市中原区)にございますが、取り扱う財産の地域に制限はございません。日本全国の不動産や各種証券口座、デジタル資産まで幅広く対応しております。東横線・南武線・横須賀線など多方面からアクセスが良く、横浜市や東京都内にお住まいの相続人の方が集まる際にも便利な立地です。

武蔵小杉あおば法律事務所のご案内

被相続人が投資家だった場合の相続は、財産の特定から評価額の合意、税金申告まで、高い専門性が求められます。「何から手をつければいいのか分からない」という状態でも、どうぞ安心してお聞かせください。当事務所は弁護士7名の体制で、迅速かつ丁寧にあなたの相続をサポートします。初回相談は無料です。

この記事を担当した専門家
神奈川県弁護士会所属 代表弁護士 長谷山 尚城
保有資格弁護士 FP2級 AFP 宅地建物取引士試験合格(平成25年)
専門分野相続・不動産
経歴1998年 東京大学法学部卒業
2000年 司法試験合格
2002年 司法修習終了(第55期) 東京あおば法律事務所に所属(東京弁護士会)
2004年 山鹿ひまわり基金法律事務所を開設(弁護士過疎対策・熊本県弁護士会)
2009年 武蔵小杉あおば法律事務所 開設
2014-15年 弁護士会川崎支部副支部長
2019-20年 川崎中ロータリークラブ幹事
2020-23年 法テラス川崎副支部長
2024-25年 法テラス神奈川副所長
2025年~ 神奈川県弁護士会副会長
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