法定相続人に関する基礎知識
- 2025.01.16

1. 法定相続人とは何ですか?
- 法定相続人とは、民法で定められた相続権を持つ人のことを指します。具体的には、被相続人(亡くなった方)の法律上の配偶者と一定範囲の親族が該当します。
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2. 法定相続人の範囲と順位を教えてください。
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- 法定相続人には順位があり、上位の順位に該当する相続人がいる場合、下位の相続人は相続権を持ちません。
また、配偶者は常に相続人となります。配偶者は順位とは関係なく、以下の相続人と同時に相続する権利を持ちます。
順位は以下の通りです:
- 第1順位:被相続人の子(子が亡くなっている場合は孫が代襲相続します)
- 第2順位:被相続人の直系尊属(両親や祖父母など)
- 第3順位:被相続人の兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥や姪が代襲相続します)
例:被相続人に配偶者と子がいる場合、配偶者と子が法定相続人となり、遺産は法定相続分に基づいて分割されます。
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3. 内縁の妻は法定相続人にあたりますか?
- 内縁の妻は法定相続人にはあたりません。
- 長期間にわたり内縁関係を継続していたとしても、法律上の婚姻関係がなければ相続権は認められません。ただし、内縁の妻に遺産を残すために遺言書を作成することは可能です。
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4. 養子は法定相続人にあたりますか?
- 養子は、実子と同様に法定相続人として扱われます。
また、配偶者の連れ子は、何もしなければ法定相続人にはなれませんが、養子縁組を行うことで法定相続人となることが出来ます。 -
5. 法定相続人が相続放棄をした場合はどうなりますか?
- 法定相続人が相続放棄をすると、その相続人は初めから相続人でなかったものとして扱われます。
そのため、同順位の相続人がいない場合、次順位の相続人が相続することになります。相続放棄の手続きは、家庭裁判所に申立てを行う必要があります。 -
6. 遺産の相続割合はどうやって決まりますか?
- 遺産の相続割合は、民法で定められた法定相続分に基づいて決まります。
法定相続分は、相続人の構成(配偶者や子、直系尊属など)によって異なります。 - <法定相続人の範囲と順位についての表>
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ケース
法定相続人
配偶者の相続割合
その他の相続人と割合
備考
① 夫が亡くなり、妻・子・夫の父親がいる場合
妻、子
妻:1/2
子:1/2
父親は第2順位のため、相続権なし
② 夫が亡くなり、妻・両親がいる場合(子なし)
妻、父母
妻:2/3
両親:1/3(2人で均等分割)
子がいない場合、直系尊属(両親)が第2順位として相続
③ 夫が亡くなり、妻と兄弟姉妹がいる場合(子・両親なし)
妻、兄弟姉妹
妻:3/4
兄弟姉妹:1/4(複数いる場合は均等分割)
子・両親がいない場合、第3順位の兄弟姉妹が相続
④ 夫が亡くなり、子のみがいる場合(配偶者なし)
子
該当なし
子:全て(均等分割)
配偶者がいない場合、全ての遺産を子が相続
⑤ 夫が亡くなり、妻のみがいる場合(子・両親・兄弟姉妹なし)
妻
妻:全て
該当なし
他に相続人がいない場合、配偶者が全て相続
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7. 遺留分とは何ですか?
- 遺留分とは、一部の法定相続人に対し、最低限の遺産を保障する制度です。
たとえ遺言書で全ての財産を特定の人(愛人)に渡すと指定されていても、遺留分が侵害される場合は請求する権利があります。 -
8. 遺留分を持つ法定相続人は誰ですか?
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遺留分を持つ法定相続人は以下の通りです
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①配偶者
なお、兄弟姉妹には遺留分は認められていません。
②子
③直系尊属(両親や祖父母など)
- 養子は、実子と同様に法定相続人として扱われます。
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9. 法定相続人以外に遺産を相続させることはできますか?
- 遺言書を作成することで、法定相続人以外の人にも遺産を渡すことが可能です。
このような行為は「遺贈」と呼ばれます。 -
10. 法定相続人が誰かわからない場合はどうすればよいですか?
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弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士は、戸籍調査や相続人調査を行い、相続人の確定をサポートします。また、遺産分割協議や手続き全般についても助言を提供します。
- 【よくあるケース】法定相続分や範囲についての役たち情報はこちら>>
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この記事を担当した専門家

神奈川県弁護士会所属
代表弁護士
長谷山 尚城
保有資格弁護士 FP2級 AFP 宅地建物取引士試験合格(平成25年)
専門分野相続・不動産
経歴1998年 東京大学法学部卒業
2000年 司法試験合格2002年 司法修習終了(第55期) 東京あおば法律事務所に所属(東京弁護士会)2004年 山鹿ひまわり基金法律事務所を開設(弁護士過疎対策・熊本県弁護士会)2009年 武蔵小杉あおば法律事務所 開設2014-15年 弁護士会川崎支部副支部長2019-20年 川崎中ロータリークラブ幹事2020年~ 法テラス川崎副支部長
2000年 司法試験合格2002年 司法修習終了(第55期) 東京あおば法律事務所に所属(東京弁護士会)2004年 山鹿ひまわり基金法律事務所を開設(弁護士過疎対策・熊本県弁護士会)2009年 武蔵小杉あおば法律事務所 開設2014-15年 弁護士会川崎支部副支部長2019-20年 川崎中ロータリークラブ幹事2020年~ 法テラス川崎副支部長