遺産分割がまとまるまでの家賃収入は誰のものですか?
- 2025.07.22

A
遺産分割が成立するまでは、家賃収入は相続人全員の共有財産とされます。
解説
相続が開始されると、被相続人(亡くなった方)が所有していた不動産やそれに付随する家賃収入は、「相続財産」として相続人全員の共有になります。遺産分割が成立するまでの間に得られた家賃収入は、法定相続分などに応じて各相続人が分配を受ける権利を持ちます。
この点について、平成17年9月8日最高裁判決は、「被相続人が賃貸していた不動産に係る賃料債権は、遺産分割がされるまでは相続人全員に帰属する共有財産である」と明確に判示しました。この判決は、賃料などの果実も遺産分割の対象となる共有財産であることを最高裁が認めた重要な判断です。
そのため、特定の相続人が遺産分割成立前の家賃を単独で受け取っていた場合には、他の相続人から持分に応じた精算(不当利得返還請求や使用料相当額請求など)を求められる可能性があります。
一方、遺産分割協議が成立すると、その不動産の所有権を取得した相続人が以後の家賃収入を単独で取得できるようになります。
このため、家賃収入をめぐる紛争を未然に防ぐためには、遺産分割協議の際に「遺産分割前の賃料収入の取り扱い」についても明確に合意しておくことが大切です。
この記事を担当した専門家

神奈川県弁護士会所属
代表弁護士
長谷山 尚城
保有資格弁護士 FP2級 AFP 宅地建物取引士試験合格(平成25年)
専門分野相続・不動産
経歴1998年 東京大学法学部卒業
2000年 司法試験合格2002年 司法修習終了(第55期) 東京あおば法律事務所に所属(東京弁護士会)2004年 山鹿ひまわり基金法律事務所を開設(弁護士過疎対策・熊本県弁護士会)2009年 武蔵小杉あおば法律事務所 開設2014-15年 弁護士会川崎支部副支部長2019-20年 川崎中ロータリークラブ幹事2020-23年 法テラス川崎副支部長2024-25年 法テラス神奈川副所長2025年~ 神奈川県弁護士会副会長
2000年 司法試験合格2002年 司法修習終了(第55期) 東京あおば法律事務所に所属(東京弁護士会)2004年 山鹿ひまわり基金法律事務所を開設(弁護士過疎対策・熊本県弁護士会)2009年 武蔵小杉あおば法律事務所 開設2014-15年 弁護士会川崎支部副支部長2019-20年 川崎中ロータリークラブ幹事2020-23年 法テラス川崎副支部長2024-25年 法テラス神奈川副所長2025年~ 神奈川県弁護士会副会長