相続人ではなくても寄与分を主張することはできますか?
- 2023.11.15
回答:相続開始の時期が2019年7月1日より前か、後かによって、主張することができるかどうかが変わります。
(1)相続開始時期が2019年6月30日以前
2019年7月1日に改正相続法が施行されました。改正前(2019年6月30日以前)に開始した相続については、相続人ではない者が寄与分を主張することはできません。
よくあるケースとして、妻が夫の両親を長年介護してきたのに、夫の親の相続では妻が相続人でないため、妻には寄与分が認められず、相続で全く取り分が認められないということがありました(この場合に、夫の寄与分として夫の取り分を増やすという解決をした事案もあります)。
(2)相続開始時期が2019年7月1日以降
従前の(1)のような扱いは衡平ではないとされ、法改正がなされました。
2019年7月1日以降に開始した相続においては、相続人ではない者が被相続人に無償で療養監護その他の労務を提供したことで、被相続人の財産の維持または増加につき特別の寄与をした被相続人の親族は、相続人に対して特別寄与料の支払いを請求することができるとされました(民法1050条1項)
この請求は誰でも無制限にできるわけではありません。①相続開始及び相続人を知った時から6か月以内、相続開始時から1年以内に請求をしなければならない(民法1050条2項)、②請求できる者は親族に限定されている(民法1050条1項)という要件があります。
「親族」に限定されているため、事実婚や、同性のパートナーには、特別寄与料の請求権がないことになります。この点については、立法過程でも強い批判があったようですが、今回の改正では親族に限定されました。
この記事を担当した専門家
神奈川県弁護士会所属
代表弁護士
長谷山 尚城
保有資格弁護士 FP2級 AFP 宅地建物取引士試験合格(平成25年)
専門分野相続・不動産
経歴1998年 東京大学法学部卒業
2000年 司法試験合格2002年 司法修習終了(第55期) 東京あおば法律事務所に所属(東京弁護士会)2004年 山鹿ひまわり基金法律事務所を開設(弁護士過疎対策・熊本県弁護士会)2009年 武蔵小杉あおば法律事務所 開設2014-15年 弁護士会川崎支部副支部長2019-20年 川崎中ロータリークラブ幹事2020年~ 法テラス川崎副支部長
2000年 司法試験合格2002年 司法修習終了(第55期) 東京あおば法律事務所に所属(東京弁護士会)2004年 山鹿ひまわり基金法律事務所を開設(弁護士過疎対策・熊本県弁護士会)2009年 武蔵小杉あおば法律事務所 開設2014-15年 弁護士会川崎支部副支部長2019-20年 川崎中ロータリークラブ幹事2020年~ 法テラス川崎副支部長