前妻の子と後妻の子の遺留分割合は?請求はできる?弁護士が解説
- 2026.03.27

再婚家庭の相続において、もっとも紛争化しやすいのが「前妻の子」と「後妻(およびその後妻の子)」の間での権利主張です。
「前妻の子には遺留分を渡したくない」
「後妻の子の方が、最後まで面倒をみたのだから優先されるべきでは?」
「長年連絡を絶っている前妻の子から、いきなり金銭請求が来た」
このような相談が後を絶ちません。
結論から言うと、前妻の子も後妻の子も、法律上は完全に同じ「子」として扱われます。
そのため、遺留分の割合にも差はありません。
この記事では、前妻の子と後妻の子の遺留分の基本、具体的な割合、請求の可否、注意点まで、実務の視点から分かりやすく解説します。
1 前妻の子と後妻の子に遺留分はある?
遺留分はあります。その内容に関して両者に差はありません。
相続では、子は第一順位の相続人です。
離婚しても親子関係は消えないため、
- 前妻との間の子
- 後妻との間の子
はいずれも相続人となり、遺留分も当然に認められます。
※なお、前妻本人は離婚により配偶者ではなくなるため、相続人ではありません。
2 遺留分割合は?
こちらも結論はシンプルです。
前妻の子と後妻の子で遺留分割合に違いはありません。
【基本ルール】
相続人が「配偶者+子」の場合:
- 配偶者:1/2
- 子全体:1/2(人数で均等)
遺留分はその半分なので、
- 配偶者:1/4
- 子全体:1/4(人数で均等)
具体例
被相続人に
- 後妻
- 前妻の子1人
- 後妻の子1人
がいる場合
遺留分は以下のとおりです。
- 後妻:1/4
- 前妻の子:1/8
- 後妻の子:1/8
→ 「前妻の子は疎遠だから少なくなる」ということは法律上あり得ません。 1円の狂いもなく同一の割合となります。
3 嫡出子・非嫡出子で遺留分に差はある?
ここは誤解が非常に多いポイントです。
かつては「婚姻外で生まれた子(非嫡出子)」の相続分は、婚姻中の子の半分とされていました。しかし、現在は法改正によりこの差別は撤廃されています。結論として、差は一切ありません。
現在の法律では、
-
嫡出子(婚姻中の子)
-
非嫡出子(婚外子・認知された子)
で、相続分・遺留分に違いはありません。
したがって、
- 前妻の子
- 後妻の子
- 認知された婚外子
はいずれも同じ「子」として扱われ、遺留分割合も完全に同一です。
※「前妻の子は不利」「婚外子は少ない」というのは誤りです。
4 遺留分請求(遺留分侵害額請求)はできる?
当然、できます。
遺言書によって「後妻に全財産を相続させる」と指定されていても、前妻の子は後妻に対して、自身の遺留分に相当する額を金銭で支払うよう請求(遺留分侵害額請求)できます。
【重要】注意すべき期限と「意思表示」の方法
遺留分侵害額請求には、厳格な期限があります。
- 消滅時効: 相続の開始および遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年
- 除斥期間: 相続開始から10年
実務上の落とし穴:なぜ内容証明郵便が必要か
理論上、遺留分の意思表示は「調停の申立て」によっても認められますが、実務家としてそれは推奨しません。
なぜなら、調停の申立てだけでは「いつ、どのような内容で意思表示が相手に届いたか」の立証が困難になるリスクがあり、期限ギリギリの事案では致命傷になりかねないからです。確実に期限を止める(時効を完成させない)ためには、必ず「配達証明付き内容証明郵便」を送付すべきです。 これが、実務における鉄則です。
5 遺留分トラブルを当事者だけで解決するリスク
再婚家庭の相続は、単なる計算問題ではなく「感情の対立」が本質です。
- 財産隠しの疑心暗鬼 前妻の子は「後妻側が財産を隠しているのではないか」と疑い、調査が難航します。
- 生前贈与の持ち戻し計算 後妻の子が受けていた学費や住宅資金、前妻の子への過去の援助など、複雑な特別受益の計算が火種になります。
- 不動産評価の対立 武蔵小杉近辺のような地価変動の激しい地域の不動産は、評価額一つで請求額が数百万円単位で変わります。
6 遺留分トラブルは当事務所にご相談ください
前妻の子と後妻側が関係する相続は、典型的に紛争化します。
- 前妻の子にどこまで権利があるのか知りたい
- 遺言を書くにあたって、前妻の子の遺留分対策をしたい
- すでに請求を受けている
- 内容証明を送るべきか判断したい
このような場合、早期の整理が重要です。
当事務所では、数多くの相続紛争を解決してきた経験に基づき、遺留分請求をする側・される側の双方について対応しています。
遺留分に関しては初動対応で結果は大きく変わります。
当事務所では初回無料相談を行っております。まずは一度ご相談ください。
よくある質問(Q&A)
Q1 前妻の子だけ遺留分を減らすことはできますか?
できません。
子である以上、遺留分は法律上保障されており、個別に減らすことはできません。
Q2 遺言で「前妻の子には相続させない」と書けば防げますか?
防げません。
遺留分を侵害していれば、金銭請求を受ける可能性があります。
Q3 前妻の子と長年連絡を取っていなくても請求されますか?
はい、請求可能です。
関係性の有無は原則として影響しません。
Q4 婚外子(認知した子)も遺留分請求できますか?
できます。
嫡出子と同様に扱われ、遺留分も同じです。
Q5 遺留分請求は必ず裁判になりますか?
いいえ。
まずは交渉や調停で解決するケースも多いですが、まとまらなければ訴訟に進みます。
Q6 前妻の子と連絡を取りたくありません。代行してもらえますか?
はい。当事務所の弁護士が窓口となり、相手方との交渉をすべて引き受けます。ご本人が直接連絡を取る必要はありません。
Q7 遺留分は「現金」で払わなければなりませんか?
2019年の法改正により、遺留分は「金銭での支払い」が原則となりました。不動産を共有にする必要はありませんが、支払いのための資金準備が必要になります。

2000年 司法試験合格2002年 司法修習終了(第55期) 東京あおば法律事務所に所属(東京弁護士会)2004年 山鹿ひまわり基金法律事務所を開設(弁護士過疎対策・熊本県弁護士会)2009年 武蔵小杉あおば法律事務所 開設2014-15年 弁護士会川崎支部副支部長2019-20年 川崎中ロータリークラブ幹事2020-23年 法テラス川崎副支部長2024-25年 法テラス神奈川副所長2025年~ 神奈川県弁護士会副会長























