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疎遠だった兄の死亡から3か月経過後でも相続放棄できた事例

2026.10.14

疎遠だった兄の死亡から3か月経過後でも相続放棄できた事例

【相談者属性】

年代:70代

性別:男性

【相談内容】

相談者には兄がいましたが、長年疎遠で連絡を取っていませんでした。そうしたところ、姉から、兄が4か月以上前に亡くなったとの手紙が届きました。あらためて相談者が姉に電話をしたところ、どうやら兄には多額の借金があり、兄の子はすでに相続放棄をしたらしく、姉自身も相続放棄をするつもりで弁護士に相談しているとのことでした。

相談者も相続放棄をしたいと考えました。ところが、調べたところ、通常、相続放棄は被相続人が亡くなってから3カ月以内に行わなければならないとされていることが分かりました。そこで、弁護士に相談をした方がよいと考え、当事務所に相談に来られました。

【弁護士の対応】

まず、兄が亡くなったことを知った経緯を詳しく確認しました。この点、相続放棄ができる期間(熟慮期間)は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月です。兄弟姉妹は第3順位の相続人です。本件では、兄の父母(第2順位)はすでに亡くなっていました。そのため、相談者が兄の死亡と、兄の子(第1順位)の相続放棄を知った時点が熟慮期間の始まりとなります。その時点から3か月以内であったため、相続放棄が可能であることを確認しました。ただし、ご相談時点で、3カ月経過まで残り1か月と、残された時間があまりないことも判明しました。

相続放棄の手続のためには、兄の出生から死亡までの戸籍を集める必要があります。この点、相談者自身の父母の戸籍であれば、最寄りの役所で広域交付制度を利用して、1度に出生から死亡までの戸籍の交付を受けることができます。しかし、兄の戸籍を取得する場合には広域交付制度が使えません。そのため、兄の本籍地が亡くなるまでに複数回変わっている場合には、複数の役所で戸籍の交付を受ける必要があります。この点を説明した上で、当事務所にご依頼いただければ、弁護士が戸籍の収集をすることが可能であることを説明しました。

相談者は、兄は、おそらく本籍地を変えたとしても、実家のある市内で1回くらいではないかと予想していましたが、戸籍の収集の他、裁判所に提出する書面を残り1か月で、自身で準備することは難しいと考え、当事務所にご依頼いただきました。実際に戸籍の収集を開始したところ、兄は亡くなるまでに複数回、異なる自治体に本籍地を変更していたことが判明しました。相談者ご自身で対応していた場合は、戸籍の収集だけでもかなりの労力が割かれていたと思われます。

【結果】

 受任から相続放棄が可能な期間まで残り1か月と短期間でしたが、当事務所で迅速に対応した結果、戸籍の収集も期限に間に合いました。また、相談者が、兄が亡くなったこと等を知った時点が、亡くなってすぐではなかったことについても、姉からの手紙の写しや、姉から話を聞いた経緯等を詳細に説明することで、裁判所にて相続放棄の申述が問題なく受理されました。

【まとめ】

 一般的には被相続人が亡くなった時点と、相続放棄の熟慮期間の始期である「自己のために相続があったことを知った時」が一致することが多いのですが、本件のように、被相続人と生前疎遠であった場合等には、亡くなった時点が、相続放棄の熟慮期間の始期とずれることがあります。その場合、相続放棄の申述申立てにおいては、いつ、相続の開始を知ったのか」を裁判所に説明する必要があります。

また、戸籍を一度に取得できる広域交付制度は、親や子・孫等の直系尊属・卑属か、配偶者に限られており、兄弟姉妹の出生から死亡までの戸籍の収集は一度に行うことができません。

なお、本件では行いませんでしたが、熟慮期間内に家庭裁判所へ申し立てれば、相続の承認又は放棄の期間を伸長できる場合があります。 本件のように相続放棄が可能な期限まであまり時間がないような場合には、伸長の要否も含めて、早めに弁護士に相談されることをお勧めします。

 

この記事を担当した専門家
神奈川県弁護士会所属(登録番号29971)
東京地方税理士会所属(登録番号159302)
代表弁護士・税理士 長谷山 尚城
保有資格弁護士 税理士 FP2級 AFP
宅地建物取引士試験合格(平成25年)
専門分野相続・不動産
経歴1998年 東京大学法学部卒業
2000年 司法試験合格
2002年 司法修習終了(第55期) 東京あおば法律事務所に所属(東京弁護士会)
2004年 山鹿ひまわり基金法律事務所を開設(弁護士過疎対策・熊本県弁護士会)
2009年 武蔵小杉あおば法律事務所 開設
2014-15年 弁護士会川崎支部副支部長
2019-20年 川崎中ロータリークラブ幹事
2020-23年 法テラス川崎副支部長
2024-25年 法テラス神奈川副所長
2025年度 神奈川県弁護士会副会長
2026年  税理士登録
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