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代償分割における支払原資確保としてリバースモーゲージを活用し、調停で合意に至った事例

2025.10.30

【相談者属性】

年代

50代

性別

女性

【相談内容】

依頼者の母が先月亡くなり、遺産は戸建て土地建物の自宅のみという状況でした。この自宅には60代の姉が現在も居住しています。自宅はもともと亡父の単独名義でしたが、父の逝去後の遺産分割により、母が持分2分の1を、依頼者と姉がそれぞれ持分4分の1を取得し、共有名義となっていました。
依頼者としては、今回の母親の死亡を契機に自宅を売却し、その売却代金を姉と2人で分ける形での解決を希望しましたが、姉は「母の七回忌が終わるまでは自宅に住み続けたい」と述べ、売却の提案に応じませんでした。
このような状況で、どのように対応すべきかご相談がありました。

【弁護士の対応】

まず、依頼者のご意向に沿い、自宅不動産を売却して代金を分配する方法で相手方(姉)に提案しました。しかし、相手方が売却案に応じなかったため、代わりに、相手方が不動産を単独取得し、その代償として依頼者へ代償金を支払うという「代償分割」の方法を提示しました。
その後、代償分割を前提として不動産の評価額や支払条件等について交渉を重ねましたが、相手方より「代償金の支払いが困難である」との主張があり、交渉が停滞しました。当方は、やむを得ず家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立て、裁判所の関与のもとで調整を進めることになりました。

【結果】

家庭裁判所での調停においても、代償金の支払額や支払原資の確保方法が主要な争点となりました。
当方からは、依頼者の希望である「代償金を受け取り、持分を整理する」という方向性を維持しつつ、相手方の資金面の不安を解消する具体策を提案しました。
最終的には、
・相手方が不動産を単独で取得し、
・その代わりに代償金を依頼者へ支払う内容
で調停が成立しました。
 
なお、不動産の評価額については、相手方が母の七回忌終了後に売却することを前提とし、将来発生する譲渡所得税や仲介手数料等の諸費用を控除した金額を基準として算定することで合意しました。
また、代償金の支払原資については、当方の働きかけにより、自宅を担保とする高齢者向け生活資金貸付制度(リバースモーゲージ)を利用することで確保することができました。

【弁護士の所感】

代償分割をめぐる事案では、代償金の金額や支払能力をめぐって紛争となることが少なくありません。本件でも、相手方が「代償金を支払う資金がない」とし、協議が難航しました。
本件のように、高齢の相続人が自宅不動産を取得するケースでは、リバースモーゲージなどの高齢者向け融資制度を活用することは非常に有効な手段となります。
 また、親子が当該不動産に同居しているような場合には、ペアローンを利用して金融機関から融資を受ける方法も考えられます。
相手方に手元資金がないことを理由に代償金の支払いを拒まれる場合でも、これらの融資制度の活用を働きかけることが重要です(相手方に弁護士がついている場合であっても、相手方の弁護士がこうした制度を知らないこともありますので、こちらから利用を打診するという姿勢が重要です)。
なお、本件において遺産分割の対象となったのは母の共有持分2分の1であり、依頼者がもともと保有していた持分4分の1は遺産分割の対象外でした。
 しかし、遺産分割調停の中で、相手方がこの持分4分の1を譲り受ける形で不動産を単独取得する方法により全体的な解決を図ることができました。
本件のように相続人間での持分譲渡は、遺産分割調停の中で包括的に処理することが可能ですが、相続人以外の第三者に譲渡する場合は、遺産分割調停ではなく、共有物分割訴訟によって解消を図る必要がありますので、注意が必要です。

【まとめ】

代償分割においては、
• 代償金の評価・支払条件、
• 資金調達の可否、
• 税務・手続き上の扱い
など、専門的な検討を要する要素が多くあります。
特に、相続人が高齢で手元資金が乏しい場合には、リバースモーゲージの活用が有効な選択肢となり得ます。
代償金の金額や支払方法、また支払原資の確保でお悩みの方は、ぜひ当事務所へご相談ください。遺産分割に関して経験豊富な弁護士が、法的観点と現実的な資金計画の両面から最適な解決策をご提案いたします。

この記事を担当した専門家
神奈川県弁護士会所属 代表弁護士 長谷山 尚城
保有資格弁護士 FP2級 AFP 宅地建物取引士試験合格(平成25年)
専門分野相続・不動産
経歴1998年 東京大学法学部卒業
2000年 司法試験合格
2002年 司法修習終了(第55期) 東京あおば法律事務所に所属(東京弁護士会)
2004年 山鹿ひまわり基金法律事務所を開設(弁護士過疎対策・熊本県弁護士会)
2009年 武蔵小杉あおば法律事務所 開設
2014-15年 弁護士会川崎支部副支部長
2019-20年 川崎中ロータリークラブ幹事
2020-23年 法テラス川崎副支部長
2024-25年 法テラス神奈川副所長
2025年~ 神奈川県弁護士会副会長
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