共有者である姉と連絡がつかず、老朽化した店舗建物の処分に困っていた事例
- 2025.06.23

【相談者の属性】
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年代
- 70代
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性別
- 女性
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【相談内容】
相談者のお母様は10年前に亡くなりました。相続人は相談者と相談者の姉の2名でしたが、相談者は姉とは数十年連絡を取っていませんでした。
5年前、姉から遺産分割調停を申し立てられましたが、調停では話がまとまらず、最終的に審判によって、相談者と姉とが不動産を共有で取得することになりました。その後、この審判に基づき、相談者は相続登記を済ませました。
数年後、相続した店舗建物(以下「本件店舗」)の老朽化が進み、倒壊の恐れも出てきたため、相談者は姉に連絡を取り、本件店舗の処分を進めようとしました。(法律上、共有する建物を処分するには、共有者全員の同意が必要です。)
しかし、実は、お姉様は2年前に亡くなっていました。相談者は、姉に子どもが3名いることは知っていましたが、連絡先が分からずお困りになり、当事務所へご相談に来られました。
【弁護士の対応】
老朽化した本件店舗を放置した結果、万が一倒壊などで近隣住民に損害を与えてしまった場合、所有者である相談者が損害賠償責任を負う可能性がありました。そのため、早急に姉の相続人を探し出し、本件店舗の処分について協議を進める必要がありました。
そこで、まず、弁護士において姉の相続人を調査したところ、相談者が把握していた子ども3名に加え、再婚相手との間にも子どもが2名いることが判明しました。そこで、弁護士を通じて、相続人である5名全員の住所を調査の上で連絡を取り、土地と本件店舗を相続する意思があるかを確認することからスタートしました。
【結果】
5名の相続人(子ども達)は、いずれも母(相談者から見て「姉」)とは長年疎遠で、弁護士からの連絡で初めて亡くなったことを知ったという状況でした。そして、上記のとおり老朽化していることを告げると、相続人全員が相続放棄を希望され、相続放棄の手続きが無事に終了しました。
その結果、姉の持分を相談者が取得することになり、相談者は単独補所有者として無事に本件店舗を売却することができました。
【弁護士所感】
- 家族・親戚であっても、長年疎遠であり連絡先が分からないなどの理由で、当事者だけでは遺産分割やその後の処分を進められないケースは少なくありません。
- 自身で把握している相続人の数と、戸籍を調査して判明した実際の相続人の数が異なることも多々あります。
このように、連絡のつかない相続人がいる場合、戸籍による相続人調査や住所調査が必要となり、多くの時間と費用がかかります。また、連絡がとれた後も、不動産の処分方法などについては交渉の必要があります。
本件では、無事、相続人が全員見つかり、かつ全員に放棄してもらうことが出来たため、相談者単独で処分が出来ることとなり、相談者も非常に喜んでくれました。
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2000年 司法試験合格2002年 司法修習終了(第55期) 東京あおば法律事務所に所属(東京弁護士会)2004年 山鹿ひまわり基金法律事務所を開設(弁護士過疎対策・熊本県弁護士会)2009年 武蔵小杉あおば法律事務所 開設2014-15年 弁護士会川崎支部副支部長2019-20年 川崎中ロータリークラブ幹事2020-23年 法テラス川崎副支部長2024-25年 法テラス神奈川副所長2025年~ 神奈川県弁護士会副会長