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父が生前、相談者へ実家不動産を相続させる旨の書面を作成していたものの、当該書面が遺言書の要件を満たしていなかった件

2025.02.05
相談者属性

年代;60代

性別:女性

争点

遺言書の効力

相談内容

相談者の父が先日、亡くなりました。母は10年前に亡くなっていたので、相続人は相談者と姉の2人です。

相談者の父は生前、「実家不動産については相談者に相続させ、別の不動産は姉に相続させる」といった旨の書面をパソコンで作成していたため、当該書面に基づいて実家を取得すると姉に伝えたところ、姉が難色を示しました。実家の価値が、もう1つの不動産の約2倍であったことがその理由でした。

父の生前、相談者と姉は非常に仲が良かったため、遺産分割をめぐって関係が悪化したことが大きなストレスとなり、相談者は夜も眠れなくなってしまいました。そこで、今後どのように対応すべきかを相談に来られました。

弁護士の対応

当該書面は、パソコンで作成されたものであり、自筆証書遺言の要件を満たしておらず、公正証書遺言でもありませんでした。具体的には、書面には父・姉・相談者の3者の捺印こそあったものの、すべての文字がパソコンで入力されており、法的に有効な遺言書とは認められませんでした。

したがって、当該書面を遺言として扱うことが出来ず、遺言に基づき相談者が実家不動産を相続できるとは言えない状況でした。

しかし、当該書面の内容を実質的に解釈すると、「実家不動産を相談者に相続させる」という父の意思が明確に示されており、さらに、父・姉・相談者の3者の捺印があったことから、父から相談者への「死因贈与契約」(=贈与者の死亡を原因として、あらかじめ取り決めていた財産を受贈者に贈与する契約)が成立していた可能性があると考えました。

そこで、相談者側は、この書面を「父が生前に実家不動産を相談者へ死因贈与する意思を示した証拠」として、姉に対して主張を行いました。

結果

  • 当初、姉は弁護士をつけていませんでした。そのため、父の介護をしていた相談者に対して財産の詳細な開示を求めたり、相談者側に弁護士がついていることを理由に細かな法的質問を投げかけたりするなど、交渉は難航しました。しかし、最終的には姉も弁護士を依頼し、姉側の弁護士も当方の主張が法的に正当であると認めました。その結果、若干の解決金を支払うことで、相談者が実家不動産を取得する形で合意に至りました。

  • 弁護士の所感

  • 遺言書として作成したつもりだが、実際には法的要件を満たしておらず遺言書として無効だった。

    姉妹の仲が良かったため、遺言書の作成にこだわらなかったが、両親の死後に姉妹間で紛争になってしまった。

    といった案件は散見されます。

    今回のケースは幸いにして、結果的に遺言書とほぼ同様の内容で解決しましたが、紛争解決までに少し時間がかかりました。

    この事例から学べることは、以下の2点です。

    1 姉妹の仲が良くても両親には法律上の要件を満たした遺言書を作成してもらうべきであること、

    2 話し合いがこじれた場合、当事者間で交渉を続けると関係がさらに悪化するため、早めに弁護士を入れて対応することが重要であること

    遺言書の作成や、遺言書を巡るトラブルに関しては、当事務所では豊富な実績があります。こうした悩みがありましたら、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。 

この記事を担当した専門家
神奈川県弁護士会所属 代表弁護士 長谷山 尚城
保有資格弁護士 FP2級 AFP 宅地建物取引士試験合格(平成25年)
専門分野相続・不動産
経歴1998年 東京大学法学部卒業
2000年 司法試験合格
2002年 司法修習終了(第55期) 東京あおば法律事務所に所属(東京弁護士会)
2004年 山鹿ひまわり基金法律事務所を開設(弁護士過疎対策・熊本県弁護士会)
2009年 武蔵小杉あおば法律事務所 開設
2014-15年 弁護士会川崎支部副支部長
2019-20年 川崎中ロータリークラブ幹事
2020年~ 法テラス川崎副支部長
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