法定相続人と無関係の友人の子どもへ財産相続を渡すことを希望するも、不確定要素が多い中での遺言作成に悩む事案
- 2025.01.07
相談者属性
年代;50代
性別:男性
争点
遺言作成のタイミング、不確定な事項がある中での遺言作成
相談内容
私は特に持病もなかったこともあって、あまり亡くなった後のことを考えてこなかったのですが、最近、親しい友人が急に亡くなったため、あらためて遺言を書くことを考えました。
私は結婚しておらず、子どももいません。両親は既に亡くなっています。弟が一人いますが、弟は数十年前に実家を出てから一切連絡を取っておらず、生きているかどうかも分かりません。私が亡くなった後、弟には財産を渡したくありません。
他方、私には、長年、家族同然の付き合いをしている友人がいます。友人には子どもが2人おり、その子どもたちのことは赤ちゃんの頃から知っており、血縁関係はありませんが、2人とも私のことをとても慕ってくれています。将来的には、2人に私の財産を渡したいと思うのですが、一方で、2人はまだ学生ですから、もし私が事故や病気で亡くなった時に、いきなり大金を手に入れてしまうと2人のためにはならないようにも思います。2人がある程度の年齢になる前に私が亡くなったら、その子たちの親である友人に財産を渡した方がよいと考えていますが、そのような内容の遺言を作成できるのかどうか、自分で調べてもよくわかりませんでした。また、2人のうち、1人は、私と同じ職業を目指しているということで、もし本当に私と同じ職業に就くのであれば、その子に多めに財産を渡したいと思います。
さらに、私は現在、神奈川県内のマンションに住んでいますが、来年、定年退職した後は、地方に移住を考えており、現在、家を建築予定です。まだ完成していないため、そちらの建物の完成を待ってから遺言を作った方がいいのか、それとも今すぐ遺言を作った方が良いのか分からず相談にきました。
弁護士の対応
相談者には、遺言を作成しない状況で急に相談者が亡くなってしまうと、法定相続人は弟しかいないため、全財産が弟に相続されてしまうことを説明しました。
その上で、友人の子2名の進路が確定していなかったり、建築中の建物があったりと、不確定な部分については、一度、遺言を作成しておき、状況が変わり次第、新しい遺言を作成するのが良いのではないか、と提案をしました。
最初、相談者はせっかく作るなら、一つの遺言で色々な場合に備えたいとご希望されていましたが、複雑な内容になってしまうことや、必ずしも希望する内容の全てが実現できないこと、自筆証書遺言であれば、特に費用が発生せずに書き換えが可能であることなどを説明し、事情変更があるたびに、遺言を書き換えるという方針で納得され、今回はベースとなる遺言を自筆証書で作成することとなりました。
弁護士の所感
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シンプルな内容の遺言であれば、インターネットや書籍などで調べて、ご自身で作成することも可能ですが、複雑な内容の場合、法的に有効な書き方を調べた上で、そもそも実現可能な内容なのか等をご自身で調べることには限界があります。また、遺言をどの程度急いで作った方がよいか、どのような方式で作成すべきか(公正証書遺言を作成すべきか、自筆証書遺言を作成すべきか等)は、個々のご事情によっても変わってきます。まずはお気軽に相談に来ていただき、ご自身の希望を叶えるためにはどのような遺言を作成するのがよいのか、一緒に検討させていただければと思います。
2000年 司法試験合格2002年 司法修習終了(第55期) 東京あおば法律事務所に所属(東京弁護士会)2004年 山鹿ひまわり基金法律事務所を開設(弁護士過疎対策・熊本県弁護士会)2009年 武蔵小杉あおば法律事務所 開設2014-15年 弁護士会川崎支部副支部長2019-20年 川崎中ロータリークラブ幹事2020年~ 法テラス川崎副支部長