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父の相続に関して、まだ生きている母親の遺留分を放棄して良い和解を成立させた事例

2024.01.20
依頼者属性

年代:50代

性別:女性

相談内容

依頼者の父が亡くなりました。父と母と姉が同居で、依頼者だけ結婚して家を出ています。

父が亡くなった後に分かったのですが、父は「全財産を依頼者の母親に相続させる」という内容の遺言書を残していました。依頼者が自分の遺留分(=遺産のうち、兄弟姉妹を除く相続人に対して保障される最低限の遺産取得分のこと)を主張しようとしたところ、依頼者の母と同居の姉とが結託して、「依頼者の結婚式のときに400万円ほど出したし、若い頃の依頼者の借金も200万円ほど払ったことがある。死亡時点での相続財産は、不動産(3000万円)とわずかな預貯金(400万円)しかなかったため、先に渡した分を考えると遺留分の侵害はない。」などと言ってきました。

依頼者はこのまま泣き寝入りをしなければならないのでしょうか?

弁護士の対応

遺留分侵害額請求を行いました

まず、当事務所の弁護士において、本件を受任し、遺留分侵害額請求を行いました(前提:遺留分の割合は、本来の法定相続分1/4×1/2=1/8です)。

確かに、母親の言い分どおり、①結婚式のときに400万円もらっており、また②依頼者の借金200万円を立て替えてもらっていたということであれば、これらが特別受益に該当する可能性があります。そうなった場合、依頼者の遺留分は、(3400万円+400万+200万)×1/8=500万円となり、既に600万円を前渡しとして受け取っている以上、遺留分の侵害はないとも言えそうです。

しかし、①結婚式の費用としてある程度のお金を出した場合であっても、多くの裁判例では、挙式費用は、親や親族も参加しての費用ですし(=個人ではなく家の結婚という側面があること)、儀礼的な性格もあることなどから、遺産の前渡しとは言えず特別受益にはならないと解されております。

また、②借金についても、依頼者自身、若い頃の借金をいくらか返してもらったことはありますが、その具体的な数字までははっきり記憶しておりませんでした(相手にもはっきりした証拠はありませんでした)。

そこで、これらの点を主張し、相手の主張は依頼者の遺留分侵害額請求に対する反論たり得ないと主張しました。さらに、こちらから、依頼者だけではなく、姉も以前から相当額の金銭を父親から贈与してもらっており、依頼者だけが特別に多くもらっていたわけではないという話をしました。

母親の遺留分を放棄することで和解を求めた

しかし、母親側は「姉にはお金は渡していない。」などと主張してきた上で、とにかく、「依頼者に払うつもりはいっさいない。」という一点張りで話になりませんでした。

依頼者は、こうした母親側の不誠実な対応に激怒し、母親と縁を切りたいという話も出てきました。

そこで、当事務所の弁護士から依頼者に対して、「今後、母親の相続も問題となるが、母親と姉がべったりであるから、おそらく、母親は死亡前に姉に財産を徐々に移動させた上で、姉に全てを相続させる旨の遺言書を作成する可能性が高い。その段階になって争ってもなかなか立証が難しく時間もかかるので、母親の死亡時に発生するであろう姉との間の紛争も見据えて、現時点で一括解決したらどうか。」という提案をし、依頼者の承諾を得ることが出来ました。

そこで、改めて、母親側に対して、裁判所の許可を得て、母親の死亡時における依頼者の遺留分を生前に放棄すること(生前の遺留分を放棄すること)を前提に、(3000万+400万)×1/8=425万という遺留分侵害額に、さらに母親分として100万円を加えた525万円で和解することを提案しました。

結果

母親側から、早期解決のために、上記提案に応じたいとの回答があり、最終的に、通常の遺留分の額に100万円をプラスした525万円を依頼者が取得することで協議がまとまりました。

弁護士所感

  • 本件では、母親側も自分が亡くなったあと、また紛争が起きる可能性があることは分かっていました。

    他方、依頼者ももうこれ以上、母と姉に振り回されたくない、縁を切りたいという気持ちが強かったので、それであれば、母親の相続も含めて解決する代わりに、本件の遺留分侵害額請求で取得できる金額をあげて欲しいという提案をしてそれが通ったものです。

    なお、生前の遺留分放棄については濫用を禁止するために、裁判所の許可を得て行う必要があります。この辺については、ケースによっては裁判所の許可が下りないこともあるため、まずは当事務所の弁護士に依頼いただければと思います。

この記事を担当した専門家
神奈川県弁護士会所属 代表弁護士 長谷山 尚城
保有資格弁護士 FP2級 AFP 宅地建物取引士試験合格(平成25年)
専門分野相続・不動産
経歴1998年 東京大学法学部卒業
2000年 司法試験合格
2002年 司法修習終了(第55期) 東京あおば法律事務所に所属(東京弁護士会)
2004年 山鹿ひまわり基金法律事務所を開設(弁護士過疎対策・熊本県弁護士会)
2009年 武蔵小杉あおば法律事務所 開設
2014-15年 弁護士会川崎支部副支部長
2019-20年 川崎中ロータリークラブ幹事
2020年~ 法テラス川崎副支部長
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