預貯金の使途に関する争いで弁護士の介入することにより解決できた事例
- 2023.11.10
相談者属性
年代:60代
性別:女性
争点:無断払い戻し(あるいは生前贈与)の有無
相談に至った経緯
被相続人は母と父。父が数年前に亡くなり、母が最近亡くなった。相続人は相談者も含めて兄弟姉妹3人、相手方である兄は隣県に在住。
相手方から母の相続に関して残っている預貯金600万円を等分に分けたいと連絡があった。しかし、相談者様としては、そもそも父の遺産相続が終わっていなのでそちらをはっきりさせた上で、今回の母の遺産の具体的内容、とくに父が亡くなってから母の財産がどのように使われたのかを知りたい、その上で、遺産分割の話し合いをしたいとのご希望であった。
相手方であると話し合いをしても、威圧的であるため当事者同士で話し合いをしても丸め込まれてしまい、きちんと説明をしてくれないので、納得しがたいとの相談があった。
弁護士の対応
被相続人の預貯金の取引明細が必要であったことから、相談者様にその旨をお話ししたところ、ご自身で明細を取得するとのことであったので、取得の仕方について説明し、取得をお願いした。
なお、取引明細の取得は手間がかかることから当事務所でも預貯金の取引明細を代理人として取得することもできるが、今回の相談者様はアクティブな方であったので、ご自身で取得された。
その後、取り寄せていただいた預金の明細書のうち金額が大きなもので使途がわからないものをピックアップし、弁護士から相手方に質問状を送ったところ、それについての回答があった。そのようなやり取りや面談での交渉を繰り返し、疑問点を解消することができた。
結果
相談者様としてはもし内容が不明のままであったら調停や審判も辞さないとの考えであったが、複数回のやり取りにより、疑問点が解消されたことから、調停申立をすることなく、遺産分割協議書を取り交わすことで合意が成立した。
当方の依頼者の獲得額は約350万円であり、決して獲得額は大きくなかったものの、相手方と交渉することでのストレスを感じることなく、疑問に感じていた点、どのようにお金が使われたのかが具体的にわかったことで気持ちがスッキリしたとのことであった。
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弁護士所感
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家族間ではそれまで積み重ねられてきた、さまざまな人間関係やそれに起因する思いがあることから、当事者間で話し合うことは難しい場合がある。特に、遺産分割に関する話し合いをすると、かなりストレスがかかる。そのようなストレスを避けるために、代理人として弁護士を利用するケースも増えてきている。
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今回は、取引明細という客観的な資料があったことから、それをもとに相手方から説明を受けることができて、疑問点を解消することができた。
2000年 司法試験合格2002年 司法修習終了(第55期) 東京あおば法律事務所に所属(東京弁護士会)2004年 山鹿ひまわり基金法律事務所を開設(弁護士過疎対策・熊本県弁護士会)2009年 武蔵小杉あおば法律事務所 開設2014-15年 弁護士会川崎支部副支部長2019-20年 川崎中ロータリークラブ幹事2020年~ 法テラス川崎副支部長